腰痛

腰痛

右利きの人の行動パターンを観察すると、日常生活でも、スポーツの場面でも、動作の節目では必ず左足が軸になっていることに気づくはずです。左足で踏ん張ると、腰から上では肝臓の裏(右の胸腰椎移行部)の脊柱起立筋、広背筋、多裂筋が緊張します。右側の筋肉が強くなった結果、今度は左の腰仙関節部の腰方形筋、仙棘筋が緊張します。
 こうして左右の高さが違う筋肉が瞬時に連携してくれるので、倒れることなく、立ったり、走ったり、方向を変えたりすることが可能です。しかし、緊張状態のまま、負荷がかかってくるため、疲れも感じるし、ハードになれば、痛みやコリを生じることになるのです。

脊柱の生理的弯曲と腰仙角

人体の脊柱は、その縦長な構造である人体の重量を分散さるためS字状の形で連なっています。まるでビルの耐震構造のような役割を担っています。これを脊柱の生理的弯曲と呼び、二足直立歩行である人体が重力に順応するように作られているのです。

したがってこのカーブが正常を逸脱することになると重力の分散に歪みが生じ、一点あるいは数点に応力の集中が起き、結果として様々な症状を呈することになるのです。弯曲が強くなる場合も、少なくなって直線的になってしまう場合も、どちらも正常を逸脱した姿勢といえ、腰部や頚部に過度の応力の集中が起き、それが長期間に及ぶと骨の変形や椎間板ヘルニアなどを起こす原因の一端となります。

脊柱のカーブを規定するものとして、その土台となる骨盤の角度が大きく関わっています。脊柱は仙骨の上に乗っているような形になっているため、腰椎と仙骨の角度(腰椎仙骨角度=腰仙角)が脊柱全体のカーブを規定するのに大きな役割を果たしています。この角度は30°位が理想とされ、これより角度が大きければカーブの度合いは強くなり、小さければ直線的になります。つまり骨盤全体が前傾すれば腰仙角は増し、後傾すれば減少するのです。

人間には体全体で約206の骨があります。骨と骨を結ぶ関節には前後屈、左右の側屈、左右の回旋があるので、200の関節に6つの動きがあるため、合計約1200通りの関節運動が行われていることになります。まずは体の運動の要である腰部でチェックをしてみると、その際多くの患者さんは前屈、左側屈、左の回旋が「やりやすい」と感じるはずです。

通常「曲がっていること」は良いことではないと考えますが、「よく曲がる」「ものすごく曲がる」ことは良いことです。つまり私たちは「曲がること」より「曲がらないこと」を見つけ出すことが大事な検査ということになります。したがってこの場合、「曲がらない」「曲がりにくい」可動域とは、「後ろ曲げ」と「右曲げ」と「右ひねり」という事になります。脳の出力を筋の収縮に限った場合、脳が正しく働いていると仮定すれば、「曲がらない筋肉」と「伸びない拮抗筋」あるいは「関節の拘縮」が考えられます。

私たちはそこで「痛みのセンサー」が存在する「筋膜」「真皮」そして「関節包」を調べ、問題のある部分に対しアプローチをしなければなりません。


腰痛の原因

  【不自然な姿勢や過労で起こる腰痛】
腰痛の原因の主なものに、運動不足による背腰部の筋肉の衰えがあります。そのような状態で不自然な姿勢を続けたりすると、腰の骨とその周囲の筋肉に負担がかかり、腰痛が起こることになるのです。

腰痛=椎間板ヘルニア(脊椎変性疾患)と考え気味ですが、しかしX線所見と愁訴の間になんら直接の結びつきがない場合が多いです。
壮年、老年期では、たとえ大きなヘルニア腫瘤瘍をもっていても、軽度の腰痛のみで根症状を欠くものが多い。一般にMRIとX線所見が痛みの原因を示す場合は、むしろ非常に少ないです。
 
・骨盤の調整により、腸骨稜に交差する第1~3腰神経の圧迫を取り除く時、有効です。
・腸骨が外側方に歪む時、腸骨下腹神経が圧迫されてソケイ部に疼痛を引き起こす
・内藤報告の疼痛の70%が骨盤のわずかな位置異常による説明と一致

↓ ↓ ↓
腰痛・下肢痛の発生原因が本報告で示されるように90%において
腰痛以外の原因がある


腰痛の3大パターンがどういう症状やパターンか説明します。

腰椎・腰仙椎椎間関節炎

1)痛みの部位は腰椎下部、普通正中線上
  
2)普通痛みは鋭痛  

3)午前中(もしくは休息後)症状よくなり、午後に痛み強い

4)腰椎の伸展動作をする検査、動作で痛み強くなる(例:ケンプ、ルイン、ゲンズレン、イライ) 
    
5)前屈もしくはfetal position(妊婦)で痛み緩解

6)放散痛が普通以下に(影響)おこる
     a)同側の腸骨稜
     b)同側の殿部
     c)同側のソケイ部、陰のう、陰唇周辺
     d)下腿、普通膝上
     
7)ひどい神経学的症状なし
    (反射+2、感覚正常、知覚正常、運動正常)
    
8)咳やくしゃみによる痛みなし

9)スキンローリングテストにより炎症上のレベルで異常発見

10)フィクセーションの起こりやすい部分
     a)仙腸関節
     b)胸腰椎移行部および腰椎
     c)股関節

仙腸関節シンドローム

1)一方の仙腸関節

2)患者自身の口述において物を持ち上げたり、捻り動作をしようとしたとき、背中に何か感じたという表現の後、痛みがあるという表現をする

3)患者が午前中ベッドから起きる動作が難しい

4)患者が椅子から立ったり座ったりするときに痛みがあり

5)午前中によりひどく、運動をすると症状がよくなる

6)神経学的検査異常なし、時々、片側の殿部、大腿部にシビレ感あり

7)放散痛 
     a)同側の殿部
     b)同側の大腿後面(膝より下にはいかない)
     c)同側のソケイ部
     d)同側の大腿前面(まれ)
     
8)痛みのある動きにより鋭い痛みあり

9)普通、咳やくしゃみにより痛みあり

10)オーソペディックテスト 
(+)ゴールドウェイト (+)パトリック (+)腸骨圧迫
(+)((+)ナクラス・イライ) (-)SLR 
(-)ブラガード、普通神経根性の炎症テスト

11)好発部位
     a)仙腸関節自身
     b)股関節
     
12)正しいアジャストによる治療により瞬間的に痛みが取れること多し

椎間板ヘルニア・脊髄(根)神経炎➀

①激烈な神経痛を伴う知覚障害とともに神経根を牽引するような運動により疼痛は悪化し、表存性反射は初期に亢進、末期に減弱、筋不全麻痺、皮膚萎縮などがある

1)患者は普通急性的に疼痛性弯曲が側方もしくは前方にあり

2)外傷的な要因なし

3)咳やくしゃみで痛みあり、そして、どちらかの足に放散痛あり

4)ひどい神経学的異常あり、腱反射減弱、知覚異常、母指、足および足関節の背屈、内反、外皮などの筋力低下

5)患側の萎縮があることあり

6)オーソペティックテスト
  (+)SLR (+/-)ブラガード (+)ケンプ (+/-)マイナー徴候
  
7)動きにより悪化し、休息で症状よくなる
  (午後悪くなり、午前中良い)
  
8)膝下に痛みあり

9)フィクセーションを起こしやすい部位
  a)胸腰椎移行部
  b)仙腸関節
  c)股関節

誤診の代表格「椎間板ヘルニア」「脊柱管狭窄症」

 脊椎と脊椎の間にある椎間板が突出し、神経根を圧迫することによって、殿部から下肢へと痛みやシビレ感が生じる疾患とされていますが、背中に近いあたりから下肢までのどこかに痛みやシビレがあり、レントゲンやMRIで椎間板の突出や脊柱管の狭窄が見つかると、多くの場合この疾患名が付けられるようです。
 
脊椎に異常がなく殿部から下肢にかけて痛みやシビレ感がある場合は「坐骨神経痛ですね」と診断されるでしょう。しかしこれらの痛みやシビレ感もトリガーポイントが原因です。大腿部の裏側にある「ハムストリング筋」や殿部にある「小殿筋」などにトリガーポイントができると殿部から大腿部の裏側に強い痛みを感じさせます。


腰痛になった人に
ぜひ知ってもらいたいものがあります。
是非参考にしてください。

腰痛患者のためのゴールデンルール

参考 TMSジャパン長谷川淳史

① 腰痛を恐れてはいけない。ほとんどの腰痛は危険な疾患ではない。
② 腰が弱いと思いこまないこと。腰椎は身体の中でもっとも頑丈な部分。ひとつの腰椎は、上下の椎間板と上下左右にある椎間関節で連結されている。さらに複数の強力な靭帯と数多くの筋肉によって強化されている。
③ 最初に取る行動が大事。痛くても安静にしてはいけない。安静は回復を遅らせる。
④ 仕事を持っている人は、出来るだけ仕事を休んではいけない。腰痛は普段通りの生活を続けると早く回復する。
⑤ 人間の腰は動かすようにできているので、日常生活に戻るのが早ければ早いほど、症状の回復も早くなる。
⑥ 腰痛に対する最善策は、痛みがあっても身体を動かし、普段通りの日常生活を続けること。
⑦ 痛みの緩和に役立つ治療法はあるが、症状の回復は基本的にあなた自身の努力に依存する。
⑧ たとえ耐えられないほど痛みが強くても、それは背骨に重大な損傷があるわけではない。
⑨ 中には痛みが長引く人もいるが、それは重大な疾患を意味しない。最終的には遅かれ早かれ治る。
⑩ 画像診断による異常所見は、しわや白髪と同じ正常な老化現象なので心配ない。
⑪ ほとんどの腰痛疾患は手術の対象ではない。手術を必要とする危険な疾患は稀。
⑫ 腰痛にまつわる恐ろしいうわさ話に耳を傾けてはいけない。それらは何一つ根拠がない。
⑬ 腰痛に対して不安や恐怖心を持たない。生涯寝たきりになることはない。
⑭ 不安やストレスは、腰痛を悪化させたり、慢性化させたりするので、リラックス法を学ぶ。
⑮ 楽観的にプラス思考であることが重要。腰にあなたの人生を左右させてはならない。

治療者も患者もあきらめずベストを尽くすことが肝要です。そして患者さんの不安と恐怖心を取り除いてください。なかなか回復しないのは、治癒を妨げる何らかの因子がブレーキをかけているためです。

第一の妨害因子

腰に対する不安と恐怖心

第二の妨害因子

根拠のない時代遅れのアドバイス
例:腹筋を鍛える・動いてはいけない・ハイヒールは履かない等
いつも腰に注意を集中させるようなアドバイスは腰痛を予防するどころか、かえって腰痛を起こしやすくし。治るものも治らなくしている。

第三の妨害因子

条件付け・・・変なアドバイスを与え続けると、条件刺激でアドバイスと腰痛を結びつけてしまう。
焦らずゆっくりと少しずつ、痛みの許す範囲で動かすこと。症状に焦点を与えるのではなく、出来たことに注目する。自信をつけさせる。

第四の妨害因子

過剰なストレス・・・リラックスするなら、手段や方法は何でもよい。
 
がんばらないで自分の力を信じる